設計課に配属となって5年。打ち合わせもこなせる設計マンとして、石原は関東地方に建つ中高層のマンションを担当してきた。
サッシの施工図を基に、ゼネコンなど関係者と意匠や性能、納期などを決めて、富山の本社工場へと発注する。設計以外にも実に幅広く仕事を任されている。
「私たちは規格品を使いながら、各マンションの仕様に合わせて仕上げています。物件ごとに、お客様から受ける要望はさまざまです。同じ仕事は一つもありませんね」
設計する際は、耐風圧、水密、気密の基本3性能をクリアしているかをまずはチェックする。これに加えて、最近では遮音性能を持つ複層ガラスに対応したサッシのオーダーが増えるなど、求められる性能は多様化している。
コストも無視できない。営業部門が受注した段階で、どのサッシを使用するかは予算の都合であらかじめ決まっている。それでも、その製品がうまく納まらない時は、予算の範囲内で対象に合った製品を作ることも少なくない。
さらに納期の管理も重要だ。工場に発注してから納品まで、モノにもよるが平均して1、2カ月はかかる。意匠や仕様の決定が遅れると、生産部門に負担が掛かり、最悪の場合、納期がずれる可能性も生じる。
性能、コスト、納期、一つも疎かにはできない。多くの課題をクリアすればこそ、竣工後の達成感は格別となる。
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