徹底した現場主義で新築マンションの「顔」を決める。
最新の技術と柔軟な企画力をもって、
あらゆる建築ニーズに対応しているビル建材事業。
その中で新築マンションのサッシ設計を担当する石原の仕事は、
図面作成だけにとどまらない。
自ら現場に足を運び、関係者と要件を詰めるなど、
多方面でめざましい活躍を見せている。
若手設計マンはさまざまな物件に関わりながら、
部署を担う頼もしい人材へと育っている。
2007年入社 工学研究科建設社会工学専攻修了
三協立山(株)三協アルミ社
関東ビル建材支店
設計部 設計課
石原仁
2007年4月
2008年2月
三協立山アルミ(当時)入社
関東ビル建材支店 設計部 設計課


設計課に配属となって5年。打ち合わせもこなせる設計マンとして、石原は関東地方に建つ中高層のマンションを担当してきた。
サッシの施工図を基に、ゼネコンなど関係者と意匠や性能、納期などを決めて、富山の本社工場へと発注する。設計以外にも実に幅広く仕事を任されている。
「私たちは規格品を使いながら、各マンションの仕様に合わせて仕上げています。物件ごとに、お客様から受ける要望はさまざまです。同じ仕事は一つもありませんね」
設計する際は、耐風圧、水密、気密の基本3性能をクリアしているかをまずはチェックする。これに加えて、最近では遮音性能を持つ複層ガラスに対応したサッシのオーダーが増えるなど、求められる性能は多様化している。
コストも無視できない。営業部門が受注した段階で、どのサッシを使用するかは予算の都合であらかじめ決まっている。それでも、その製品がうまく納まらない時は、予算の範囲内で対象に合った製品を作ることも少なくない。
さらに納期の管理も重要だ。工場に発注してから納品まで、モノにもよるが平均して1、2カ月はかかる。意匠や仕様の決定が遅れると、生産部門に負担が掛かり、最悪の場合、納期がずれる可能性も生じる。
性能、コスト、納期、一つも疎かにはできない。多くの課題をクリアすればこそ、竣工後の達成感は格別となる。


実家が材木店を営んでいたということもあり、石原は幼い頃から建築物に興味があった。大学院では土木分野の研究をしたが、就職先には建材メーカーを選んだ。
「ビルに使われているサッシは意匠もさまざまで、まさに『建物の顔』を作ることができる仕事だと思いました。さらに広く深くモノ作りに関わることのできるメーカーに魅力を感じたのも入社動機の一つです。この会社を知った時に、設計部門で働くことができれば面白いだろうなと想像していました」
入社後、約10カ月の研修を終えて現部署に配属となった。そこで待っていたのは図面作成の日々だった。先輩の指導を受けながら、あらゆる形の窓枠を図面化した。
「サッシの設計には建築と機械、両方の知識が必要です。大学でサッシについて専門的に学ぶ機会はほとんどないので、新入社員は入社後、横一線に並んで基礎から始めます。いかに自分で学ぶかが重要な分野だと思います」
大学院まで修了していながら、専門的な知識を活かすことができず、もどかしく思うこともあったという。しかし、それでも石原は画面に向かって線を引き続けた。
その結果、現在、関東地方で30もの案件を任されている。
「設計に悪戦苦闘していた入社当時を思うと、少しは成長できたのでしょうか。関東地方でさまざまなタイプのマンションを担当しているので、いきなり電話で物件名だけ言われると混乱することもありますが…」
多忙な日々を苦笑する姿に、設計マンとしての自信の一端が垣間見えた。


石原は初めて担当した物件で、仕事の醍醐味と厳しさを知った。
「それまで、お客様と接することがほとんどなく、何か一つ決めるだけでも本当に苦労しました。デビュー戦だからといって、先輩が同行するわけではないので必死でした。若くて知識も無い。休日も関係なく、とにかくやる気を見せるしかなかった。山ほど提案資料や図面を持って臨み、その場で分からなかったことは持ち帰り、できる限り早い対応を心掛けました。そのうちにゼネコンの担当者の方とも具体的な仕事の話ができるようになり、サッシの仕様などが承認され、竣工した時は本当にうれしかったですね。完成後も何度か社員寮から自転車に乗って見に行ったほどです」
実は今でも、現場での打ち合わせが仕事の中で一番難しいと感じている。
「現場の担当者は50代のベテランの方が多く、そこに私のような若手が来るだけで、明らかに顔色を変える方もいます。中には『お前一人で来たのか』とはっきり言われる方もいます。どの現場でも認めてもらうまでは本当に大変です」
たとえ初対面がそのような印象であっても、完成までに何度も顔を合わせる相手だ。相手との信頼関係を築くため、万一、トラブルがあれば原因を探って、早急に解決するなど、どのような現場でも、その時にできることを精一杯やってきた。だから、竣工間際、現場の担当者は石原にこう声を掛ける。
「また次の物件も一緒にやりたいね」

この仕事を始めてから、石原は建物を見る時もサッシに目が行くようになった。メーカーの人間として、どのような性能を持たせてどのように作っているのか、自分の仕事と結びつけて見ているうちにあっという間に時間が過ぎる。たとえ分からなくても、見ているだけで勉強になるという。
今後、意匠性に富んだサッシの設計に挑戦したいと意気込む彼だが、他部署で働く同期と話すうちに、住宅や店舗用什器にも興味が出てきたようだ。将来への夢は広がりつつ、自分の立ち位置をしっかりと理解してもいる。
「現在取り組んでいる仕事で花を咲かすことができないと、どこにいっても通用しないでしょう。まずは現在のポジションで必要とされる人材になりたい。そう思えば、どれだけ忙しくても頑張ることができます」
石原は担当している現場の近くに、以前手掛けた物件があれば、なるべく寄るようにしている。久しぶりに眺めていると、不意に当時の喜びや苦労が蘇ってくる。
「この仕事を選んで良かった」
そう思って、次の現場へと力強く歩き出すのだった。
就職活動中のみなさんへ
私が就職活動の時に困ったのは、いくら志望企業のことを調べても、実際は何をやっているのか、なかなかイメージできなかったことです。皆さんの中にも同じ悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。頭を抱えていても仕方がないので、勇気を出して飛び込んでみましょう。自分が選んだ企業で頑張れば、きっと「この仕事が天職」と感じるような日も来るはずです。
私の所属する設計部設計課は、とにかく活気にあふれています。約30人が目の色を変えて仕事に打ち込んでいます。それらのプロジェクトには営業や施工部門など多くの人間が関わっています。コミュニケーション能力と打たれ強さに自信のある設計マンとともに働きたいですね。
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