2009年に入社した木元は、社会人としても
商品開発スタッフとしても、まだまだ修業中の身。
商業施設に関する知識と商品開発のスキルを磨く毎日だ。

初めて関わった施工現場で、商品が無事に納まったことに
安堵と感動を覚えたり、自分のミスで先輩スタッフに
迷惑をかけてしまい、身の縮む思いを噛みしめたり…。
早く“一人前”になれるよう、今日も図面に向き合っている。
木元
2009年入社 工学部機械工学科卒業
三協立山(株)タテヤマアドバンス社
商品開発部 商業施設商品開発グループ
木元友紀
2009年4月
入社
タテヤマアドバンス
商品開発部
商業施設商品開発グループ配属


元来、人とコミュニケーションを取るのが好きだという木元は、生徒会活動に参加したり、同窓会の幹事を務めたりと「仕切り役」を買って出るタイプの学生だったという。大学時代には機械工学科で各種の工作機械を用いて、ものづくりに励んでいた。
「ものづくりに興味を持ったのは、幼い頃、祖母に折り鶴を教わったのがきっかけだったような。1枚の折り紙から、立体的な折り鶴ができ上がる不思議さに魅了されました」
そんな木元は就職活動に際し、ものづくりに携わる技術職よりも、人とのコミュニケーションに重点を置いた営業職を視野に、いくつかの会社説明会を回りはじめた。そこで、三協・立山ホールディングスグループと出会うことになる。
「それまでは、三協・立山というと『アルミ業界』というイメージしかありませんでしたが、同グループに看板事業などを展開しているタテヤマアドバンスがあることを知り、改めて自分なりに企業研究をしてみました」
その結果、自身の生活にも身近な大型スーパーやドラッグストアなどに、什器(店舗に商品などを陳列するための器具や器材など)を納めていることがわかり、ますます興味が募ってきた。
「お客様とのコミュニケーションを大切にする店舗・商業施設において、快適な空間づくりを提案・提供するという業務に心惹かれましたね」
一目惚れならぬ“二目惚れ”、運命的な出会いだったと言ったら、大げさに過ぎるだろうか。


就職活動中は、技術職よりも営業職への志向に傾いていた木元だったが、タテヤマアドバンス入社後の配属は商業施設商品開発グループに決まった。
「大学時代にも多少は図面をかじっていたので、それなりの素養はあったと思います。今では図面を描くことが楽しくなってきています」
ここで、木元たちが手がける商品開発の業務フローを見てみよう。一口に「商品開発」といっても、カタログに載っている既存の規格品に改良を加える場合と、特注品のように全く新規に設計・開発する場合とに大別できる(まだ経験の浅い木元が主に携わるのは前者)。
いずれの場合にも、商品企画課から上がってきた要望・仕様に基づき各部材の設計図面を起こす。それらの図面について、品質保証課や購買課とともに検討会を行い、OKであれば試作に進む。でき上がった試作品についても検討会で吟味し、GOサインが出れば量産する加工先の選定に移る。量産ラインで製造されたサンプルも、同様に検討会にかけてチェック。当然ながら、各段階の検討会で問題点が浮上すれば、それを解決しない限り次の段階には進めない。
「商品開発には、さまざまな要素が絡んできますから、各方面からの検討・吟味を繰り返す必要があります。商品として日の目を見るのは、いくつもの関門をクリアできたものだけなのです」
そう自分に言い聞かせるように話す木元は、自らが初めて関わった物件の施工現場を思い出していた。


「横浜にある大手複合量販店の施工現場に、初めて立ち会ったときのことは忘れられません。チューターが作成した図面の修正をちょっとだけ手伝った程度ですが、私にとっては初めて関わった物件でした」
三協・立山ホールディングスグループ各社では、新入社員の職場適応と自立的成長を促す目的で、2008年度から「チューター制度」を導入している。これは、先輩社員がチューターとして新入社員一人ひとりの指導に当たるものだ。入社1年目だった木元も、チューターからOJT(職場内教育)を受けながら一つひとつの仕事をマスターしていったのである。そんななかで、木元は「ちょっとだけ」とはいえ、初めて携わった物件の施工現場に立ち会う機会を得たのだ。
「自分が図面作成を手伝った商品が仕上がってきて、一番最初に物件に納まったときは、安堵感を覚えるとともに鳥肌が立ちました。何もない状態から、図面1枚でものをつくっていく過程も楽しいですし、最終的に自分の設計したものが形になるということに、大きなやりがいを感じます」
木元にとって、まさに、ものづくりの喜びを体感した瞬間だったようだ。もちろん、良いことばかりがあるわけではない。忘れられない苦い経験も味わった。
「納期の短い特注物件で、自分で描き上げた図面で大丈夫だろうと高をくくっていました。ところが、大事なところの寸法がずれていて全て描き直しに。夜遅くまで残って図面を修正しましたが、チェックしてもらうためにグループ長を巻き添えにしたことが申し訳なく、とても心苦しかったですね…」
入社1年目の体験は、酸いも甘いも、その後の糧となっていくに違いない。


商品開発、とりわけ図面作成は、短い納期のなかで正確さとスピードが求められる仕事だといえる。だが、経験の浅い木元は、「商品の部材一つひとつについて、どのように納まっているのかなどを理解しながら、図面を完成させていくこと」すなわち、目の前の仕事を丁寧にこなすことに精一杯の注意を払っているという。
「忙しいときでも、先輩方は新人の私に声を掛けてくれたり、的確なアドバイスをしてくれたりと、皆さん大変優しく、落ち着いて仕事に打ち込める職場です。現在はまだまだ未熟なため、先輩から教えていただくことが多いのですが、早く教える側になれるよう頑張ります」
そう決意を述べる木元には、当面の目標がある。それは、自分で一つの商品を開発すること。
「例えば、コンビニエンスストアの店内の造りは、どこも似ていると感じるでしょうが、実は入っている什器が違っていたりするんです。そういった意味で、決して目立つものではありませんが、什器には開発者の個性を反映させることもできます」
この仕事に携わるようになってから、ショッピングに出かけても商品ではなく、什器に目が行ってしまうようになったと苦笑する木元。それがライバル会社の製品だったりすれば、なおさら目についてしまうと“職業病”の症状をユーモラスに吐露する彼は、
「皆が利用する身近な商業施設で、自分の開発した什器が使われたりしたら最高でしょうね」
と想像する。木元の「商品開発」という創造の物語は、まだ序章が始まったばかり。想像以上の創造が繰り広げられることに期待したい。

私の場合も何社か落とされたりして、結構難しかったことを思い出しますが、それ以上に現在の就職活動は不況の影響で厳しいと思います。説明会にも参加できないといった話も耳にしますし、「自分が何をやりたいのか?」と自問自答しながら、日々、就職活動に取り組んでいる学生もいると思います。焦らずにじっくりと自己分析を行ってから、自分のやりたいことについて再確認してみても良いのではないでしょうか。私自身、企業は意欲のある人材を求めていると、入社してから改めて感じています。ですから、会社説明会にしろ面接にしろ、臆することなく前向きに元気よく行っていただければと思います。
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