いろいろな家づくりをサポートしていきたい。
快適で安全な空間に欠かせない製品を生み出すため、
商品開発部では最適な素材を探り、
ミリ単位の設計を手掛けている。

商品開発二課で玄関ドアの設計を担当している増井は入社以来、
仕事を通じてモノづくりの奥深さを学んでいる。
「良いドアを作りたい」。
この想いこそ増井の原動力。
理想を求めて挑戦は続く。
2009年 工学部環境デザイン学科卒業
三協立山(株)三協アルミ社
商品開発部 商品開発二課
増井由季
2009年4月
三協立山アルミ入社
商品開発部商品開発二課配属


「使い勝手が良く、女性が欲しくなるような商品の開発に励んでいます。大切にしているのは女性の感性。苦労の末、納得できるモノが完成した時はやりがいを感じますね」
入社3年目の増井は、玄関ドアの一つ「ラフォース」シリーズの設計を担当している。このシリーズは企画から開発まで、三協立山アルミの女性社員が手掛けている。親しみの持てるデザインと、使う人のことを考えた機能性を兼ね備えた主力商品だ。
企画・デザイン部門が考案したデザインを基に、生産部門用の設計図を作成するのが増井の仕事。扉全体のサイズや、外側と内側に取り付ける各パーツの大きさや厚みを定めるなど、製品をイメージ通りに仕上げるために、間違いの許されない重要な役割を担っている。
増井が開発に携わったのは、最新のシリーズ第4弾。使いやすさを重視して、ドアの取っ手には上下左右どの方向からでも、手を添えるだけで簡単に開閉ができるプレートを採用した。さらに最近の住宅事情を考慮し、幅が異なる2枚の「親子ドア」を用い、ワイドサイズの1枚ドアよりも開閉時の出幅を抑えた。また、室内側の色調を白で統一し、明るく広い玄関を演出している。
「暮らし目線」から誕生した玄関ドアには、随所に女性ならではの細やかな心配りが感じられる。


大学で住宅の設計など建築系のデザインを学んだ増井。在学中にアメリカでインテリアデザインの研修に臨むなど、もともと建築やインテリアへの関心は高かった。
漠然とモノづくりに関わりたいと考えていた彼女は、地元高岡市での就職活動を始めた頃、セミナー会場に並んだ玄関ドアのデザインの多彩さに魅了される。
「その時、玄関ドアは住宅の顔だと気づきました。住居の印象を左右する大事な建材だけに、お客様は納得できる1枚を選びたいはず。この世界で自分も力を試したいと思いました」
モノづくりへの憧れが具体的に自分の将来と結びついた瞬間だった。会場に並んでいたドアは、三協立山アルミの製品。社会人への扉が開いた。
入社1年目、増井は先輩社員の下で構造や素材など玄関ドアを作るための基礎を徹底的に学んだ。先輩の描いた図面をパソコン上で3次元の設計図に起こし、試作品を作る毎日。ある程度の知識はついてきたものの、今でもまだ扱ったことのない素材の方が圧倒的に多いという。
「例えば、デザイン通りのドアを作るためには、アルミの型材をどのような形にすればよいか、取り付ける樹脂のキャップや、部品同士をつなぐためには何を使えばよいかを考えます。1枚のドアはさまざまな素材の集合で成り立っているので、設計の度に膨大な選択肢の中からニーズに応える組み合わせをピックアップしなければなりません」
常に適切な選択ができるレベルにはまだ達していないという。だからこそ、開発期間中は自問自答を繰り返す。デザインを活かしつつ耐久性を高め、さらに使い勝手を良くするためにはどうすればよいか。仕事と真剣に向き合う日々が、増井の技量を高めていくのだろう。


今の増井にとって、モノを作り上げた時の充実感に勝るものはない。
「初めて手掛けたドアのことはよく覚えています。先輩が描いた図面を見ながら、紫外線硬化樹脂を素材に光造形法で作製した試作品です。デザインや設計段階では、まだ自分の頭の中にしか存在しなかったドアが、目の前に現れた時の感動は忘れられません。今でも工場に試作品が届くと梱包を解いて、全体から細部まで設計通りにできているかをチェックします。イメージ通りに仕上がった時の喜びは格別です」
増井は仕事に臨む上で向上心を何よりも大切にしている。たとえうまくいかない時があっても、そこから何かを学び取る姿勢こそ大切だからだ。
「できないことがあると悔しいものです。しかし、それを次につなげることができなければ、プロとして失格です」
質問することは恥ではないが、なるべく自分で調べた上で、先輩に尋ねることを心掛けているという増井。全てを一から教えてもらう段階をとうに卒業した彼女は、設計のプロとしての自覚を持ち、新たな目標を定めている。
「先輩方の設計した製品を見ると、私はまだ比べられるレベルにも至っていないことを痛感します。早く先輩方に追いつき、設計部門に欠かせない戦力となりたいです」
目標は先輩社員のように一つでも多く「会社の顔」となる製品を作ること。増井の担当する案件は、「ラフォース」のようなメインテーマ以外にも、既存商品の改良などがある。新たなプロジェクトに挑む日も来るだろう。今何をすべきか。自分の設計が形になった時の感動を胸に、増井は今日もCAD画面に向かっている。


商品開発二課には、30人のスタッフが所属している。そのうち9人が女性で、増井は一番の若手だ。
「もしも、後輩が入るならば、素直な方がいいですね。どの仕事にも共通することでしょうが、分からないことは分からないと素直に言える方が向いていると思います。周りの先輩は優しい方ばかりなので、親切にフォローしてくださいます。実際に私も何度も助けていただいています」
働きやすい職場環境も自慢だという。社員のことを考えた勤務体制が取られていて、週休2日はもちろん、有給休暇もしっかりと取得できる。増井も休日には、友人との食事や買い物を楽しみ、仕事への活力を養っている。
「休みの日に息抜きをしつつも、気になるドアを見つけると、自然と仕事のことが頭に浮かびますね。これからもこの仕事を続けたいです。今は女性の感性を活かした商品を作っていますが、例えば環境に貢献できる製品など、これまでに無い付加価値を加えた玄関ドアを、お客様の住宅の顔にしてほしいですね」
設計すればするほど、新たな可能性を追いたくなる。
増井のモノづくりへの意欲はさらに高まっているようだ。
就職活動中のみなさんへ
就職活動は大変だと思いますが、納得できるまで頑張ってほしいです。まずは自分自身と真剣に向き合うことが大切です。「何をやりたいのか」「どうしてそれをやりたいのか」をまとめることができれば、自然と職業に対するイメージも具体的になり、面接で説明できるようになるはずです。言葉でしっかりと志望動機を伝えられるようになってください。もちろん、本当のスタートは実際に働き始めてから。学生のうちにしかできない経験をたくさんして、働くことに対する視野を広げてほしいですね。
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