鈴木が所属しているビル建材部は、一課と二課に分かれている。一課は地元の代理店を担当し、二課は工事を取りまとめるゼネコンが営業先となっている。入社以来、二課一筋の鈴木は東海地方で建設される病院や学校、庁舎など規模の異なる物件に合ったサッシを提案してきた。機能性とコストの両方に重きを置き、時には設計部門と協力しながら、顧客のためにさまざまな提案を用意する。これが鈴木の仕事だ。
自動車に代表される「ものづくり王国」として全国に名を馳せている愛知では、東京や大阪に比べて高層のマンションやオフィスビルよりも工場用サッシのオーダーが多いという。
「物件の中でも、とくに工場の建設物件は工期の短さが求められます。半年後の操業に間に合わせるため、短期間で提案から受注、納品までをクリアーしなければならない案件も珍しくありません。スパンの短い仕事をいくつも経験する中で鍛えられました」
もちろん、担当している物件は工場だけではない。担当エリアに点在する進行中の物件に足繁く通っては状況を把握し、ゼネコンにアポを取り訪問している。その都度「宿題」をもらうこともあれば、「課題」を見出すこともあるという。求められるのは相手が今、何を望んでいるかを察知、理解する能力だ。 |